今注目の講師

村山昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家

私が行うコンセプチュアル思考の研修では、仕事に関わるマインド・観を醸成する内容ですので、いわゆる知識習得・実務スキル習得ではありません。働く上での原理原則の観念をさまざまに肚に植え付けること、そして思索・内省の脳を大いに動かすことを狙いとしています。その大いに動かすことの、きっかけとなる例をご紹介したいと思います。

目的と目標の違い
「知識の大きな目的は、知識そのものではなく、行為である」 –トマス・ヘンリー・ハクスリー(イギリスの生物学者)

目標とは、単に目指すべき状態(定量的・定性的に表現)や目指すべき具体的なもの(例、模範的な人物や特定の場所)です。そこに意味が付加されると目的となります。意味は、目指す理由であり、そのための行為に自分が見出そうとする価値や動機です。

つまり、 目的=目標+意味

実際のところ、何か事を成すにあたって、目標を設定だけで進めることがありますが、そのとき意味が欠如していると、実行者にとっては「目標疲れ」が生じる危険性があります。意味なき目的は、単なる割り当て(ノルマ)となるおそれがあります。

成功と幸福の違い
「幸福はそれ自体を追ってつかめるものではない。幸福は結果として生じる」 –ヴィクトール・フランクル

成功は歓喜・高揚感・熱狂を呼びますが、それは揮発性のもので長続きしません。別の言い方をすると、成功は一過性のもので、消費されるものです。幸福は、与えてくれる持続的な快活さとは対照的です。
よりよい仕事人生を送っていくためには、まず自分が献身できる何かを見出し、没頭することです。そしてある時点で振り返ってみたときに、「あぁ、自分は幸せだったのだな」と気づかされる、それが、幸福の実体なのです。夢や志、大いなる目的をつくりだすこと、そして、その仕事を理想形に近づけていく絶え間ない過程に身を置くことにほかならないのです。

「知っている」から「掘り起こす」へ
「言葉は眼の邪魔になるものです。例えば、諸君が野原を歩いていて一輪の美しい花の咲いているのを見たとする。見ると、それは菫(すみれ)の花だとわかる。何だ、菫の花か、と思った瞬間に、諸君はもう花の形も色も見るのを止めるでしょう。」 –小林秀雄『美を求める心』

知識狩りに忙しい人は、新奇なものを知ることに興奮を、本当の学びが生まれません。ハウツー情報や新しい事例を読み漁るのに忙しい人は、要領よく事を処理することに功利心が満たされるとそこが満足の終着点となります。物事との本当の向き合い方をしません。

自分の外側には、無限の知識空間があり、そこを狩猟して回るのは興奮です。他方で、自分の内側には、無限の観念空間があります。この空間を耕作することは快濶です。興奮は一時的な刺激反応ですが、快濶は持続的な意志による活動です。耕作することの快濶さを与えるものは圧倒的に少ないですが、私はその少ないほうに自分の仕事の場を置きました。人の考え方を強く深くするのは多量の知識ではなく、健やかな観念です。
私たちは「知ること」を超えて、「掘り起こすこと」をもっとやっていきたい。少なくとも教育の観点はそこを外してはならないと感じています。

Diamond Praxis(DPx)